居住者の「お困りごと」を見逃さない!

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管理会社も想定外の居住者の本音とは?

 

マンション居住者宅を訪ね、住まいの「お困りごと」を解決する「お客さま係」。スーツなどでは堅い印象を与えてしまうため、作業着を着用して話しやすい雰囲気づくりに努めている

 

約150件・2,000戸のマンションを訪問した結果、訪問先の半数以上で居室内の掃除や手入れ方法、不具合などが話題に。多くの居住者が、住まいのちょっとした「お困りごと」を持ちながらも、どこにも相談できていないという実態が分かった

 

マンション内で多く聞かれた「お困りごと」に対しては、解決するためのサービス商品をマンション共用部分で紹介することも。こうしたイベントは、「お客さま係」が企画・実施する

 管理会社の手掛けるサービスは「共用部分のみ」、というのはもはや昔の話。管理会社各社は近年、他社との差別化を図るため専有部サービスに力を入れている。そのサービスとは、電球交換から緊急駆け付けサービス、家事代行サービスまでさまざまだが、居住者の心をガッチリと掴むサービスを提供することが、差別化への近道になるのではないだろうか。こうした中、(株)大京アステージ(東京都渋谷区、代表取締役社長:山口 陽氏)は、マンション居住者宅を訪ねて住まいの「お困りごと」を解決する女性の専門職「お客さま係」を新設。「お客さま係」の狙いとは? また、彼女たちはどのようにして居住者の心を掴んでいるのか。レポートする。

◆潜在的な「困りごと」を掘り起こす

 同社はこれまで、支店のマンションアドバイザー(営業担当)やマンションサポーター(管理員)が、管理組合や居住者とのコミュニケーション対応を行なってきた。そうした居住者の声を活かし、多くの困りごとを解決してきたが、これだけでは他社との取り組みに大きな差はない。

 「もっと居住者との接点を多く持とう」
 この発想が、「お客さま係」発足のきっかけとなった。

 「お客さま係」とは、同社が管理するマンションの居住者宅を訪ね、住まいの「お困りごと」を解決していく女性専門職のこと。
 昼間に在宅していることが多い主婦や高齢者に対応するには、物腰の柔らかさがあり、住まいへの気配りが発揮できる女性が適任と判断。2013年10月、女性スタッフ4名が首都圏の一部地域で「お客さま係」としてのトライアルを開始した。

 とはいえ、いきなり訪問したところでお困りごとや本音を聞き出せるというわけではない。最悪の場合、門前払いということもあり得るだろう。そこで、年に1~2回実施される排水管清掃に合わせて作業員に同行し、戸別訪問を行なっている。

 「ほとんどのマンションで、昼の時間帯の居住者の約7割は女性です。ところが、作業員は男性がほとんど。居住者の方々に話を伺うと、作業自体に問題はないが、やはり男性が来ると少し抵抗感があったようです。女性が立ち会うことで安心して話しやすい雰囲気になるのか、ちょっとしたお困りごとや本音を聞くことができます」と話すのは、同社ライフサービス事業部次長の中村 忍氏。
 トライアルの約1年半の間に、日常のちょっとしたことに「お困りごと」を感じていた居住者の多さに驚いたという。

 4名の担当スタッフが、合計約150件・2,000戸の居住者宅を訪問した結果、「マンション内には、住まいに関する潜在的な“お困りごと”がまだまだたくさんある。それらを掘り起こして解決していくことで、さらなる満足度向上につながる」(中村氏)ということが分かり、15年4月1日、ライフサービス事業部内に「CA推進室」(CA:カスタマーズアドバイザーの略、「お客さま係」の社内呼称)を新設するに至った。中村氏は現在、CA推進室長を務めている。

◆管理会社の常識は、居住者の非常識

 現役「お客さま係」の藤崎 美和子氏と前田奈穂氏にも話を聞いてみたところ、居住者の意外なお困りごとに驚かされることが少なくないという。そのお困りごとの一部を紹介しよう。

■何となく聞きづらい
 「最近、1階エントランスのオートロックドアの閉まりが遅い気がする。故障なら修理してほしい」とのお困りごとを受けた。早速、管理員に確認したところ、故障ではなく、高齢者への配慮であることが分かった。その旨を伝えると、「管理員さんに直接聞くと、文句を言っているように思われるのが嫌で聞けなかった」との本音が。その居住者は、ドアを出入りするたびに感じていたストレスがなくなったという。
■15年間も言えなかったお困りごと
 とある居住者は、室内の専有設備の不具合に「少しの不便は感じるけれど、電話するまでもないし…」と、15年もの間、お困りごとを内に秘めていたのだとか。「早く言ってくれれば!」という気持ちと同時に、そうしたお困りごとはまだまだ潜んでいるのだと実感した出来事だった。
■鍵穴が回りにくい
 よく聞く困りごとの一つに「鍵穴が回りにくい」というのがある。居住者の多くは「油をさせばいいのでは」と考えるそうだが、それはとんでもないこと。「かえってゴミが付着するので、絶対にやってはダメ!」と、管理室に専用液があることを伝えた。管理会社のスタッフには常識でも、居住者が知らないことは多い。居住者向けの情報誌やマンション別の専用サイトなどでこうした情報を発信してはいるが、なかなか目をとめてもらえないのが現状。「やはり、足を運び対面で会話することが大切」と痛感したという。
■水が流れにくかった原因は…
 雑談の中で、「洗面所の水が流れにくい」と言われ、ふと洗面台を見るとマウスウォッシュがあった。実は、マウスウォッシュの使用後は、普段以上に大量に水を流さないと、排水管が詰まってしまうことがあるのだとか。排水管を調べてみると、何と真っ黒の筒状に固まった物体を発見。取り出してみると、30~40cmくらいの「黒いちくわ」のようだったという。それ以降、洗面所でマウスウォッシュを見つけると、使用後は多めに水を流すようアドバイスしている。

 このように、潜在的なお困りごとはたくさん存在する。ちょっとした不具合でも、それがなくなれば気持ちは楽になり、暮らしもグンと快適になる。こうした満足感が、他社との差別化につながっていくのだろう。

 現在は、20名弱の「お客さま係」が活動中。グループ内からの異動者が多いため、任命後にまずは管理会社の仕事をレクチャー。居住者サービスや各設備の仕組み、接客のロールプレイングなど、約3ヵ月間のさまざまな研修カリキュラムを叩き込み、その後支店に配属するという仕組みだ。

 「マンションごとに設備の仕様が違うため、覚えることは山ほどあります。お客さまはズバリ『この設備のここが悪い』などとはおっしゃらないので、お困りごとから原因を探るには、知識が何より必要なんです」(中村氏)。

◆警戒心をなくすことが居住者の本音を知るカギ

 とはいえ、そもそも同グループ内における女性社員の割合が少ないため、人材確保という課題もある。しかし、居住者からは「教えてもらえて良かった」「女性だから話しやすかった」などの好意的な反応が多数あり、反響は上々。フロントからも、「お客さま係のおかげで会話がはずむようになった」などの声が聞かれるという。
 同社では、早期に課題を解決し、17年までに、全国24ヵ所の全支店に複数名の「お客さま係」の配置を目指す。

 また、「訪問販売とは違う」と同氏は強調する。以前、同社の取り組みを知った他社から問い合わせがあったそうだ。「商品を販売することが目的ではない。隠れた困りごとを浮き彫りにし、快適な暮らしのサポートをしていくことが『お客さま係』の目指しているところ」(同氏)と話す。
 確かに、営業臭を出した途端に警戒心を抱かせてしまい、「あの人が来たら、何か買わされそうで嫌…」と、ドアを開けてもらうことすらできないだろう。

 同社の場合は、困りごとを聞いて、それに対する効果的なサービスがあるといった程度に説明をとどめている。それでも、「お客さま係」設立前と後とでは、サービス商品に対する認知度が格段にUPしたという。
 「Webサイトや季刊誌などでサービス・商品を紹介していますが、やはり“対面”は強い。今後は、管理員・営業担当・お客さま係の3本柱でサービス向上に努めるとともに、今以上のお困りごとを拾い上げ、ソフト面での新たなサービス開発も行なっていきたい」(同氏)と意欲をみせる。

 マンション住まいの記者も、日々の暮らしの中で「このくらいならいいか」「一応使えているからこのままで…」と思うことは少なくない。それらはほんの些細な不満やお困りごとなので、管理会社に連絡するのは面倒だし、不快を感じるほどではないので放置している。

 記者と同じような気持ちを抱いている人は決して少なくないだろう。そんなモヤモヤを解消してくれる「お客さま係」は、事業が立ち上がってまだ1年程度だが、居住者からの信頼を着々と積み上げている。「埋もれたお困りごと」に着目した点に、他社との差別化実現への可能性を感じた

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